どうも!保育士園長のまゆあです。
今回は「BCP」について書いていきたいと思います。
BCPとはなんだ?と思った方は、ぜひ読み進めていただけたらと思います。
2021年8月に厚生労働省が、コロナウイルス感染防止策を強化させるための指針を新たに策定するという報道がありました。
その中にBCP策定を努力義務とする、といった記載があったのです。
急に「BCPを作れ」と言われたように感じて驚いたり、戸惑った方もいらっしゃると思います。
ツイートを見ていると「これ以上仕事増やすのか」とかいう意見も見られました。
コロナ対策の一環としての策定に関しては様々な意見が上がっていますが、BCPを策定すること自体には多いに意義があります。
すでに策定している保育園もありますからね。
というわけで、今回はBCPとは何かという所を中心に書いていきたいと思います。
一保育者として、そういうものがある事を知っておくだけでも違います。
一見難しそうに見えますが、なぜ必要であるかを理解すれば策定にも納得がいきますので、ぜひごらんください。
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BCPとは何か
まずは聞きなれない言葉「BCP」について確認していきましょう。
BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字を取って略した言葉です。
日本語に訳すと「事業継続計画」と言います。
簡単にかみ砕くと、災害など危機的な状況が訪れても事業を継続できるような方法をあらかじめ考えておくものです。
緊急時に何も計画していないという状態になってしまうと対応する事ができません。
対応できないと事業の継続どころではありませんし、復旧にも時間がかかる結果になってしまいます。
ですのでBCPを作成する事は、緊急時でも行っている事業を継続、または早期回復を図るためにも重要なものになります。
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保育園にBCPは必要か
保育園は下記にまとめたような施設です。
・社会生活に不可欠な施設である
・こどもたちが安心して過ごせる場所
・地域の子育て拠点として機能している
この様に保育園はこどもたち、保護者の方、地域の方にとって必要不可欠な施設と言えるでしょう。
しかし、他業種同様、地震や台風など、災害を受けるリスク受ける可能性があります。
また、感染症などによって休園せざるを得ないケースもあります。
自分たちの身に災害などは降ってこないと思いがちですが、いつ緊急事態に陥るかは分かりません。
緊急事態になったからと言って、ずっと事業を継続しないという選択肢にはなりませんよね。
保育園を必要としている方がいる限りは、保育の継続や早期復旧を目指すべきですし、その為にもBCPは必要なものと言えるでしょう。
報道の中にはBCP策定を努力義務にするという案が示された際に、「コロナ禍でも開園し続けなければならないのか」という意見も見られました。
間違えてはいけないのが、BCP策定自体はコロナ対策だけではなく、自然災害や事故から復旧する際にも使えるものになります。
保育事業をどのレベルで守って行くのか、どの様な形で復旧させるのか、どれくらいの期間必要なのかなど、予め計画されていれば職員は行動しやすくなりますよね。
計画も何もなく、その場の状況で変わっていくと職員も戸惑ってしまいます。
事前に計画を立てて、非常時に備えられる様にしておきましょう。
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策定する時のポイント
①策定の目的を明確にし、方針を決める
まずは策定するにあたり、なぜBCPを策定するのか、その目的をしっかりと明確にして方針を決めます。
保育園が緊急事態に陥った際、職員はどの様な行動をしますか?
きっとこどもたちを守るため、保育を行える状態にするために、全員が一丸となって行動していくはずです。
その際に全職員が方針などを理解していなければ行動する事ができなくなってしまう可能性があります。
目的や方針をしっかりと立て、職員が理解している状態を作る。
そうすれば緊急時にも対応しやすくなるはずです。
さらに計画にのっとった訓練や、マニュアルの作成なども併せて行えると、BCPへの理解がより深まっていくでしょう。
②どの様な被害が起きるか予測する
BCPは緊急時でも事業を継続させるための計画です。
ですので、どんな状況が想定されるのか、どれくらいの被害や影響を受ける可能性があるかなどを予測しておく必要があります。
・火災なら出火場所と規模
・台風であれば雨量・風速、交通機関への影響など
・感染症ならどんな影響があるか
想定に合わせて非常食や現金、救急用品、生活必需品などを準備します。
また、自家発電できるように対策をしたり、重要なデータをバックアップしておくといった対策もできるようになります。
他にも職員体制の充実を図る事も一つの対策になるでしょう。
ある程度の想定をしなければ計画も準備も行えないですよね。
的外れな準備は緊急時に致命傷になってしまう事だって考えられます。
あくまでも予測ということにはなりますが、とても大事な事です。
③どの業務を優先して行うのか決める
BCP策定において大事なポイントです。
緊急時においてどの業務を守っていくのか、どのレベルの水準を維持していくのかを決めていく必要があります。
保育園であれば「保育を行う事」と「給食の提供」、これらができれば一応事業を行う事ができると思います。
・安全な給食を提供すること
これらができれば、保護者の方も預ける事が可能です。
実際私が所属している法人では、緊急時でもできる限り安全で安心な保育と給食の提供ができるような計画を立てています。
安全に給食を提供する為にできる事は何か。
自園の状況から出来る事を考えていきましょう。
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④事前の対策を考える
事前に対策をするだけで実際の被害を小さくする事ができます。
何も対策をしていない状況だと被害が拡大してしまうのは明白ですよね。
ここは防災計画と似る部分がありますが、緊急時に被害を大きくしない為にできる対策を施していきましょう。
ここでは例として安全な保育の提供という部分で考えていきます。
事前にできる対策として考えられるのは
・職員が不足しないように、代行できる人を用意する
・給食が提供できるように簡易の調理器具を揃える
・保護者向けの情報提供体制の確保(アプリなど)
棚を固定していなければ倒れたり破損したりして、危険な状況になってしまいますよね。
職員が不足していてはそもそも事業の継続もできません。
保護者向けに情報を提供しなければ、不安に思われてしまいます。
そうならないように、被害の予測から事前の対策をしっかりと考えていきましょう。
⑤役割を明確にする
役割を明確にしておく事も必要です。
計画を立てる際に役割を明確にしておくと、良いメリットが生まれます。
・新人職員も行動しやすくなる
・指示待ちにならない
・素早く行動できる
良いメリットの一例を挙げてみました。
非常時にボーっとしている暇はありません。
とにかく行動しなければあっという間に危険に飲まれてしまう事になります。
他にも、職員が少人数の時の役割も決めておくと良いと思います。
・土曜日や日祝日の保育
・体調不良で欠員が出ている時
場面ごとに役割を決めておくことで、万全でない時にも対応が可能になりますよね。
また、緊急時に対応できるように、定期的に訓練もしていきましょう。
⑥定期的な見直しをする
BCPは定期的に見直しを図りましょう。
作成時は最新の情報でも、1年、3年、5年と時間が経つにつれて情報は古くなります。
また、新型コロナウイルスなど新たに危険な感染症が発生した場合、対応すべくBCPを追加で策定する必要も出てきます。
他にも職員の入職、退職などで体制も変わる事もあるでしょう。
この様に作成時と比べて時間が経てば経つほど、状況が異なる事が分かると思います。
マニュアルなどもそうなりがちですが、策定しても段々と見なくなる事もあるでしょう。
ですので、最低でも1年に1度は内容の見直しをしていきましょう。
見直しをするだけで最新の計画を作る事もできますよね。
そして見直しのタイミングで職員にも周知や研修などを行えば、園全体の意識も高める事ができます。
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防災計画との違い
BCPと似たようなものに「防災計画」が挙げられます。
BCPは非常時に備えて計画するものなのですが、一見同じではないかと思われる方もいらっしゃると思います。
結論から言うとこれらは別物になります。
防災計画は「防災」という名がついている通り、自然災害が対象になります。
例えば
・台風
・火災
・豪雨・豪雪
・洪水など水害
これらの自然災害を対象にした計画が「防災計画」になります。
それに対してBPCは自然災害以外のものも対象になります。
・テロ
・停電
・食中毒
・資金難
こうやってBCPと防災計画を比べると違うのが分かると思います。
混同しがちになりますが、別物であるという認識を持っておきましょう。
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緊急事態を乗り切る為に計画を
BCP自体は経営者、管理者、園長などが主導で作成されます。
ただ、だからと言ってその他の職員がBCPを知らなくていいという訳ではありません。
職員も知っておくべきですし、伝えていく必要があります。
そしてなるべく早く日常に戻していく。
しっかりと計画して準備していれば、「非常時でも強い保育園」という評価にもつながります。
保護者の安心感にも繋がりますし、職員の意識も変わっていくでしょう。
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