2019年に起きた保育業界のニュースまとめ【幼保無償化、一斉退職、事故事件】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
PR・広告

PR・広告を含みます

指で作った四角形からのぞく2019の文字

どうも!保育士園長のまゆあです。

今回は「2019年の保育業界のできごとまとめ」を行います。

2019年は元号が変わり、新しい時代を迎えました。
保育業界にとっても、幼保無償化がスタートするなど大きな変化の年になりました。

この他にも重大な事件や事故も起こった2019年の保育業界。
1年を思い出しながら2019年の出来事を振り返ってみましょう。


スポンサーリンク

幼保無償化がスタート

無償化イメージ

これは保育業界にとって2019年最大のトピックスになると思います。

保育園は3歳以上児、幼稚園は入園可能な時期に合わせて満3歳以上の子どもの利用料が無償になるという取り組みです。

この幼保無償化により、子どもが通う幼稚園・保育園の格差を無くそうというのが大きな狙いで、両者が無償化されれば幼稚園に行きたくても事情があって行けない家庭も行ける可能性がでてきます。

子どもを幼稚園や保育園に入れている方にとっては喜ばしい事であります。
利用料が無償になれば経済的な負担が減るわけですからね。

我が家は幼稚園に入れているのですが、

25,000円×12か月=年間30万円

この支出減は大きいです。

このように、子育てしている家庭にとっては喜ばしい事である反面、取付刃のような制度で議論も十分に深まったと言えない政策には疑問の声も挙がっています。

無償化による財源不足問題

報道でもありましたが、無償化により予想よりも多くの方が利用した事で500億円の財源不足に陥った事が判明しています。

幼児教育と保育の無償化にかかる経費が、今年度は予算に計上している額を最終的におよそ500億円上回る見通しとなったことが分かりました。保育所の利用者が想定より多かったことなどが要因で、政府は、不足分を今年度の補正予算案に計上することにしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191212/k10012212411000.html 令和2年1月12日閲覧)

無償化されれば利用者が増えるのはごく自然の事ですが、想定を上回っていたようです。
それでも500億円もの不足は見通しが甘かったとしか言いようがないと思います。

こういった政策は一回始めたら止めるのはかなり困難です。
無償なのにまたお金払ってくださいって言われたら反発しますよね?

そういった性質を含んでいるので、財源不足というニュースが一度でもでると不安の声があがりかねません。

また、国のみが財源を出す無償2019年度のみで、次年度からは各自治体も無償化の負担を強いられますので、各自治体は財政状況によってはかなりひっ迫する状況が生まれる懸念もあります。

給食費の取り扱いで不満も挙がる

給食プレート

無償化ですべてが無料になると思った方は沢山いたと思います。
私も初めはそう思っていました。

しかし、実際は保育料として支払っている中の純粋な保育料が無償になるだけで、付随している給食費の支払いは発生します。

給食費の取り扱いについてはやや複雑です。

認可保育園の保育料の仕組みは大まかに言えば
「保育料+給食費」を「保育料」として支払っています。

さらに給食費は主食費(3000円)と副食費(4500円)に分けられ、支払う金額は認定区分によって異なります。

・1号認定(保育の必要が無い子ども)
→主食費+副食費を徴収
・2号認定(保育の必要がある満3歳以上)
→主食費のみ実費徴収
・3号認定(保育の必要がある満3歳未満)
→実費なし。保育料に含める

うん、複雑ですね。

従来はこの様な方式でした。

無償化がスタートするにあたり、自治体によっては給食費に対して補助を出す決定をした所もあります。
以下のツイートは無償化直前にまとめた東京都内の給食費についてです。

※上記は無償化スタート時のものですので、現在は変更があるかもしれません。

連続ツイートですのでやや読みにくいかもしれませんが、東京都内すべての自治体の給食費の家庭負担額になります。
こうしてみると23区はほとんどの所が区で賄うという方針であり、
それ以外の自治体は多少の補助を出すところもあれば、全額徴収する所もあります。

東京都内でもこれだけ違います。
東京特別区はまだ財政が安定している方なのでこういった施策ができますが、地方になると厳しい財政の自治体もありますので、全額徴収の自治体も多くあります。

自治体による補助のある・なしは子育てをする家庭にとって大事な事です。
実際に徴収することで家庭の負担が増すケースもありました。

このことは事前に公表はされていましたが、各家庭レベルではあまり知られていなかったようにも思います。
その為か、無償化直前のTwitterには不満の声が多く挙がっていました。

保育園側の負担が大きくなった

今まで認可保育園は自治体が保育料などを徴収していたので、保育園側はお金の取り扱いはそこまで負担ではありませんでした。
(延長保育、その他実費負担は別)

しかし、無償化により給食費の実費徴収は保育園側が行うケースがほとんどとなり、事務作業の増加による負担が懸念されました。

認可外保育施設は園で徴収を行っていたのでそこまでの変化ではありませんが、それでも減らせる事務作業は減らしたいのが現場としての思いです。

無償化においては保育園サイドから反発の声が挙がっていましたが、こういった背景があるからですね。


スポンサーリンク

企業主導型保育事業の問題

2016年からスタートした企業主導型保育事業。
子ども・子育て支援新制度の待機児童解消策として期待されておりました。

しかし、補助金の不正受給が次々と明らかになるなど、児童育成協会のずさんな管理が問題となっています。
中には経営者が逮捕されるなど、4年目になる企業主導型保育事業も順風満帆とはいきませんでした。

監査においても施設が急増している為か追いついていないように思います。
2019年度はそれまで監査委託されていたパソナが委託から外れていますが、平成31年度(令和元年度)の委託先は決まっていません。(令和2年1月時点)

児童育成協会単体で4,000近くの施設を監査するのは到底無理ですよね。
協会が数百人レベルで勤務しているのであれば別ですが、100名にも満たない人数で構成されています。

となると、原則年1回行われる監査ができなくなります。
保育の質も問われる中、制度自体が保たれるのか今後も動向を注視していく必要があります。

関連記事



スポンサーリンク

相次いだ車がらみの事故

事故イメージ

2019年5月、滋賀県大津市で園児・保育士を巻き込んだ事故は全国の保育園に衝撃を与えました。
信号待ちをしていた保育園グループに事故を起こした車が突っ込み、死傷者がでた事故です。

また同じ月には、千葉県市原市では公園の砂場で遊んでいた保育園のグループに車が突っ込むという事故も発生しました。

事故の詳細を見てみると、どちらも引率していた保育士に過失がある様には見えず、とても防ぎようのない事故のように思います。(戸外散歩の是非はここでは取り扱いません)

この事故をきっかけに、各保育園や幼稚園では事故に対しての意識やマニュアルの見直しなどが行われました。
ネット上でも大きな反響がありましたし、保育士さんと思われる方の不安な気持ちを表すツイートも沢山見かけました。

実際に私の園でもマニュアルの見直しや戸外活動時の人員増加などの対応を行いました。
近隣の保育園のお散歩を見ても、子どもの人数に対して明らかに過剰な人数を配置しているのを把握しております。

事故から半年以上経ち、やや落ち着いてきた感じはありますが、いつどこで同様の事故が起きるかはわかりません。

施設におけるリスクマネジメントも必要ですし、AEDの設置など命を救う可能性を上げる物を設置するなどの対策は今後も継続して行っていく必要があるでしょう。

関連記事



保育士の一斉退職問題

退職届イメージ

2019年12月に起こった静岡県浜松市の私立認可保育園で起きた保育士の一斉退職問題。
18人もの職員が一斉に退職を表明する衝撃的な出来事です。

発覚した経緯は職員側が保護者に告発文を郵送したことから始まりました。
背景には園長先生夫婦などのハラスメントがあったということで、運営側の問題がクローズアップされています。

その後、園長夫婦が退任し別会社に運営を引き継ぐ事になりましたが、退職を表明した保育士は一部撤回したものの、年度内での退職となるとの事でした。

個人的には2018年度に世田谷区の企業主導型保育事業所で起こった一斉退職問題を皮きりに、こういった事例が増えた様にも思います。
また、報道されていない規模での一斉退職も起こっていると思われます。

大抵こういった保育士の一斉退職が起きる原因は運営側にあります。

・給料の未払い、遅延
・ハラスメント(パワハラ等)
・改善されない労働環境

一例ですが、上記の原因が挙げられます。

預けている保護者側としたらこういった問題が起きる事は不安しか覚えないですし、何よりも被害にあうのは子ども達です。
大好きな保育士さんが急にいなくなる訳ですからね。

こうした問題が起きない様に、各保育園の経営者、運営者は考えていかなければならないと思います。

突然の保育園閉園による自主運営

これも世間にインパクトを与えた出来事ですね。

2019年11月末、東京都世田谷区の認可外保育施設で園の経営会社が何の説明もなく突然の倒産・閉園を通告。それに対し、それまで園を支えていた職員が自主運営を行った出来事です。

園は12月1日~13日までの間自主運営をし、子どもを預かりました。

自主運営には介護・保育ユニオンがサポートで関わる前代未聞の出来事になりましたが、有志による金銭面でのサポート、備品の提供、保護者の協力による自主的な欠席などで運営は進みました。

全園児の転園先が決まったことで自主運営は終了しましたが、

・経営者の無責任さ
・認可外保育施設に対する行政の対応
・認可外保育施設が抱える廃園ルールの問題

がクローズアップされました。

特に施設を廃止する場合、廃止1か月後までに届け出をすれば良いルールになっているので、この辺は法改正を含めた対応をしないと今後も経営が行き詰った保育園による同じような問題が起きる懸念があります。


スポンサーリンク

保育士による虐待疑惑

虐待イメージ

毎年の様に起こることですが、2019年も虐待と思われる事案が発生しています。

東京都足立区の認可保育施設では園長と主任が子どもをトイレに閉じ込めるなどの虐待を行っていたとして行政指導を受けています。
こちらは保育士に対してのパワハラなども発生しており、介護・保育ユニオンが運営会社に申し入れを行っています。

また、福岡県宗像市の認可保育園で副園長が園児のほほを叩いたり、背中などを蹴ったなどの虐待を行っていた事が判明しました。

副園長は保育士に対しても長時間正座させるなどのパワハラを行っていた事も明らかになり、副園長が就任してから60人以上の保育士が辞めていたという異常さです。
この副園長は傷害容疑で逮捕されています。

この他にも保育士による虐待の報告は多くありました。

虐待は紛れもなく行ってはならない事です。
保育士は防いでいく立場であるのに、当事者になるケースが発生するととても残念です。

個人的には保育士の余裕が無い事も虐待が発生する要因になっていると感じています。

厳しい配置基準、保育士不足、理解の無い経営者…
保育士を取り巻く環境は年々厳しくなっています。

虐待を擁護する気は全くありません。
むしろ厳しく罰せられるべきだと思います。

しかし、配置基準の改善などで少しでも保育士に余裕ができ、悲しい事件が起きずに済むならそちらの方が良いと思うのですが…どうなのでしょうね?

2020年の保育業界はどうなっていく?

2019年から2020年

子ども子育て支援新制度5年後の見直しも終わりましたので、2020年はそれほど大きな変化は起きないと思われます。

しかし、事故や虐待などといった出来事は今後も起こりうると思います。
また、保育園の閉園や保育士の一斉退職も今後は増加していくかもしれません。

保育士をとりまく環境は厳しい事に変わりはありません。
SNSが発達した現代、悪い情報は一気に拡散していきます。
各自が気をつけながら保育を行っていくしかないのです。

個人的な願いを言うのであれば保育士の処遇改善や配置基準の見直しが大きく進めば良いなと思っています。

・厳しい環境が少しでも良くなるように
・保育士が少しでも「保育士として働いていて良かった」と思えるように
・保育士の笑顔が沢山溢れるように

これらは最終的には

「子どもたちの為」

になっていくんです。

そうなっていける様に考えていきたいですし、有益な情報を今後も継続して発信していけたらと思います。


スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする