企業主導型保育事業所の園長をやって思った事【良い点や問題点】

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玩具で遊ぶ女の子

どうも!保育士園長のまゆあです。

今回のテーマは「企業主導型保育事業」についてです。

この記事は
○企業主導型保育事業所で働いている方
○企業主導型保育事業について知りたい方

向けへの記事になります。

国の事業として企業主導型保育事業所がスタートしたのは平成28年度のこと。

認可外保育施設にもかかわらず認可保育園並の補助金が受けられると言うことで子育て支援、待機児童解消につながると期待されていました。

しかし、ニーズに合わない保育園の建設、
保育士の一斉退職、園の休園・閉園等、
今では問題視される部分も増えています。

私自身も企業主導型保育事業所の園長を経験し、色んな事を感じました。
ここでは私の経験から企業主導型の保育園の良い点や問題点をお話します。

一部個人的な気持ちや考えが含まれますがご了承ください。


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私は企業主導型保育事業の園長をしていました

保育士園長まゆあ
私は2年間企業主導型保育事業所で園長をした経験があります!

国の事業として始まったのが平成28年度。
その翌年の平成29年度に園長を任されました。

就任当時はまだ新しい制度という事もあり、保護者の認知度が低く、
見学にいらっしゃる方もどういった施設か分からないという方がほとんどでした。

毎回の様に

保育士園長まゆあ
「こんな事業を国が行っているんですよ」

とか、

保育士園長まゆあ
「その中でもうちの保育園はこういった方針で運営しています」

と理解して頂くのに時間をかけていた記憶があります。

今までにない保育園のスタイルを経験したことで、色々な事を思った2年間でした。
それをちょっと次からまとめています。

良い印象がない企業主導型保育事業は良い点もあります

保育士園長まゆあ
今は報道などで良いイメージを持たれていない企業主導型保育事業
いまりちゃん
でも良い面もあるんですよ♪

認可園並みの補助金は運営的にはありがたい

企業主導型保育事業所は俗にいう認可外保育施設にあたります。
一般的に認可外の保育園は補助金が少なく、運営的に厳しい部分があると言われています。

ですが、企業主導型保育事業所は認可保育所並みの補助金が受けられます。
認可保育所を100とした場合、95%程の額を受けられるイメージです。

それとは別に様々な加算があります。

例えば
・連携推進者を置いたら加算
・看護師を配置し、条件に応じて補助金の加算

などです。

全てをトータルすると、園によっては年間何千万という補助金が入る事になります。

何でもそうですが、物事を運営するにはお金が必要です。
特に保育園は簡単に閉鎖できる施設ではありません。
ですので、長い事保育園を運営していくにはある程度のお金が必要なのです。

保育士園長まゆあ
この点はとてもありがたいと感じました。

企業枠の入園でお互いwin-win

企業主導型保育事業所特有の契約形態として、「企業枠」というものがあります。

おおまかに「企業枠」「地域枠」の2通りの入所方法があり、地域枠は定員の50%以下の受け入れです。

一時的であっても基準を超えてはいけません。

逆に企業枠は100%でもOKです。

ですので、できるだけ企業枠の方を優先して案内している所もあるようです。

企業枠のパターンとしては以下のものがあります。

・自社(グループ園、グループ会社)の従業員枠
・保育園と提携した企業の従業員

企業が自前で託児所を運営するとなると、ある程度のノウハウがないとできません。
とてもハードルが高いですよね?

それを代わりに企業主導型保育事業所が行う事で、企業側は託児所を整備するのと同じ意味を持つことになります。

それは就職を希望している方へのアピールポイントになりますし、保育園側としても定期的に利用者が見込めます。

お互いにwin-winの関係が築けるのです。

保育士園長まゆあ
認可外保育施設は自分たちで子どもを集めなければならないという難点がありますが、この点を解消できる可能性があるのが企業主導型保育事業なのです。
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保育料が安めの設定になっている

一般的に認可外保育所の保育料は高いというイメージがありませんか?
東京都の認証保育所の中には保育料が10万円近くする所もあります。
もちろん自治体の補助が出るところもありますが、逆に全くないという自治体もあります。

企業主導型の保育園は補助金を受けているおかげもあり、安めの保育料になっているところが多いです。
私たちの園では約40,000円程の保育料で利用してもらっていました。
知っている限りでは40,000円台の保育園が多い様に感じます。

ですので、認可申請すると保育料が高くなってしまう世帯の方は、
質の良い企業主導型保育園に入所できれば、保育料を抑える事ができるのです。
実際に私の園でそういった方がいましたし、見学にいらした方の中にもそういった方が多くいらっしゃいました。

こういった点は保護者にとってメリットに繋がるので良いなと思いました。

しかし、報道されるように問題点も山積み…

問題点イメージ

未経験事業者による参入が悪いイメージを植え付けた

ニュースなどでも報道されていますが、保育園を初めて運営する企業も参入できる為、園によっては保育できるような環境にない所もあります。
(この点は参入要件が厳しくなるので今後減るとは思いますが…)

また、ろくに調査を行わず、多額の補助金だけを目当てに建ててしまったがために入園者が思ったよりも少なく、あっという間に閉園や休園に追い込まれるケースもあります。

こうなると既存の企業主導型にも影響がでてしまいます。

私の園では報道が連日過熱していった時に見学にきた保護者の方から
「急に閉園になるような事が無いか」
「保育体制はしっかりと整っているのか」
など、心配や不安の声が上がる様になりました。

これは29年度と30年度では大きく異なる点で、29年度はそもそも企業主導型保育事業所の存在を知らない方が多かったのですが、30年度は悪い報道が多かった為か、企業主導型とは何ぞやと調べてくる方が増えた印象がありました。

幸い、うちの保育園は体制作りをしっかりしていたので、丁寧に説明して納得して頂けたのですが、保護者の関心度が高まっていると感じた出来事でした。

保育士の一斉退職は企業主導型でも

近頃、労働環境や賃金面の不満などから保育士が一斉に退職するケースが報道される様になってきました。

企業主導型保育事業所で記憶に新しいのは世田谷区にある企業主導型の保育園で起きた一斉退職問題ですね。

認可保育園でも一斉に退職するという報道も起きているので、保育業界全体にこういった動きが起きはじめています。

保育園運営のノウハウがないような会社ほどこういった事態が起きる可能性が高いのではないのかなと思ったりもしますし、
運営会社によるところが大きいとは思いますが、保育士の事をもっと大事にしてくれる保育園がもっともっと増えなければ、企業主導型保育事業はもとより、保育業界が伸びていかないと思います。

保育士園長まゆあ
悪いイメージのある企業主導型保育園ですが、保育士の一斉退職、急な閉園はもう見たくありませんね。

児童育成協会に振り回される

内閣府から委託を受けている児童育成協会。
企業主導型保育事業所は協会が取り仕切って国の事業として行われています。

この児童育成協会の対応に問題があると感じています。

例えば

・補助金の交付が遅い
(基本的に保育園は補助金ありきなので、ないと運営がきつくなる)
・基準が年度途中で変わる事があり、その対応を迫られる
(一時的に良かったものが急にダメになる、急な基準緩和など)
・細かいところの基準があいまい
(例えば保護者との契約書。契約書に記載すべき内容が決まっていなかった。)

などです。

児童育成協会側としても不慣れな点が多いと聞きますし、そもそもの業務を行う人数が圧倒的に少ないという事もあるでしょう。

協会は約60人で構成されており、業務の委託先であるパソナも同規模ですので、約120人ほどで2500箇所以上ある企業主導型保育事業所の全てをチェックしていることになります。

さらに、2019年3月末時点で3,817施設に増えているので、業務的には限界を超えていると推察できます。

制度を改めて自治体にも権限を振って、
もっと細かい事まで対応していった方が良いのではないでしょうか?

どう考えても少なすぎですので人増やした方がいいんじゃない?って思っちゃいますが、新たな委託先の噂もあり、今後の情報に注視したいところです。


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監査が緩すぎる

本来、保育園の監査は園の運営がきちんとなされているかをチェックしたり、保育のアドバイスなどを行う機会というのが私の認識でした。

しかし、企業主導型の監査は保育内容についてはほとんど言われたことがありません。

もちろん言われないだけの準備をしているつもりですが、
まだまだ穴だらけなものもあったのにも関わらず指摘されなかったり、
サラッと見ただけで終わる事もありました。

時間がないのでは?と思われるかもしれませんが、
終了予定時刻の2時間以上前に終わっていることもありますから、見る事もできるはずです。

一方でやたらと会計だけはきちんと見てくる印象です(笑)
まぁ、多額のお金の流れがありますから致し方ないところではありますが。

もうちょっと保育の参考になる様な事を言って欲しいなと思いました。
まぁ、保育のプロではないということで、これも仕方ないんですかね?

監査員によって言う事が違う・私見を述べる

監査や午睡中の立ち入り調査などで児童育成協会や協会の委託先であるパソナから監査員が派遣されます。
その監査員によって言っている事が違ったり、私見を交えてチェックするようなケースがありました。

監査を受ける私たちとしては根拠を持って説明してほしいと思っています。

設置基準や実施要綱など明文化されているものにのっとっての指摘であれば私たちも納得して受け入れます。
ですが、要綱などにも記載されていない点で指摘されるのは納得いかないですし、
「ちゃんと書いてよ!」と怒りたくなります。

もちろん、書いていないからと言ってやりたい放題やるわけではありませんが、
監査員によって対応に差が出るのは困ってしまいました。

企業主導型保育事業はまだまだ発展途上

太陽に向かい指をさす

色々な事を書きましたが事業としては年月が浅く、まだ発展途上である企業主導型保育事業。

網の目をかいくぐって色々な事業者が参入しましたが、うまくいかないケースは今後も出てくるでしょう。

2019年度以降は制度の見直しが入るので、今までの様な事態が改善される方向に進むと期待しています。

迷走している感じがぬぐえませんが、今後、企業主導型保育事業が保育業界に良い影響を与えるのか、それとも見直しによって事業自体が無くなっていくのかは分かりません。

しかし、企業主導型保育事業所に救われた人がいるのも事実です。

新たな保育園の形として、日本の社会に根付いていくことを期待しています。


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