どうも!保育士園長のまゆあです。
今回は「保育士の一斉退職」についてです。
保育士が一斉に退職するというニュースが時折報道されるのを、みなさんも一度は耳にした事があると思います。
保育をするはずの保育士が一度に辞めてしまうのはインパクトが大きく、保護者にとっても不安な事ですよね。
そして、なにより子どもたちに大きな影響が出てしまいます。
ここでは、保育士の一斉退職が起きる原因を考えていきます。
その原因を見てみると保育士が悪いというわけではなく、別の所に問題があります。
どんな原因があるのでしょうか。
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続発した保育士の一斉退職
保育士が一斉退職するというニュース。
みなさんも一度は耳にした事があるのではないでしょうか。
浜松市の認可保育園で保育士ら18人が一斉に退職を表明
広島県内にある3か所の系列保育園で保育士が一斉に退職→廃園・休園に
世田谷区の企業主導型保育事業所で園長以下5名の保育士全員が退職
この他にも報道されていないだけで同じような事例はあるものと推測されます。
私自身、報道にはない事例で新人2人だけが残って他は全て退職という園や、退職まではいかないものの、大半の職員が異動希望を出して職員が入れ替わったという園があるのを知っています。
事例を分析してみて浮かび上がる原因とは?
給与の未払い
まず、よくあるのが給与の未払いです。
認可保育所は国や自治体からの補助金が入るので運営が安定しますが、認可外保育施設は補助金が十分でないケースも多く、保護者からの保育料だけが頼みの綱となっている保育園もあります。
また、企業主導型保育事業に関しては入金の遅れが発生しているケースがあるようです。
そうなると、体力のない運営法人はどうにかして運営費を削るか、園をたたむかという選択肢になってきます。
世田谷区のケースでは給与の未払いがあったと保育士側は主張していました。
人件費を削る、となると給与の未払いが発生したり、賞与の減額などもありえますよね。
給与の未払いは保育業界に限った話ではありませんが、ただでさえ給与水準が他業種に比べて低いので、未払いがあるととたんに生活ができなくなってしまう方が出るのは容易に想像できます。
となれば今すぐ退職してでも条件の良いところで働きたいと思うのが自然ではないでしょうか。
パワハラ、マタハラなどのハラスメント
次はパワハラなどのハラスメント問題です。
浜松市の事例では園長らによるパワハラが横行していたとのことで、匿名の告発もされていた様です。
ハラスメントが横行しているような保育園では、保育士が水面下で退職に向けた動きを取ることも想像できます。
ハラスメントに苦しめられている保育士が
「いつかみてろよ」
といった感情になるのも無理はありませんよね。
こうしたハラスメントはしている本人が否定しても、された側がハラスメントだと思えばハラスメントになります。
そこに気づかないと一向になくなりません。
また、女性が多い業界ということもあり、マタニティーハラスメントも多く発生していうようですし、セクハラの噂もよく聞きます。
ハラスメントは人権を無視するような行為です。
一斉退職の原因になってもおかしくはありませんよね。
サービス残業、持ち帰り
保育業界に多く見られるサービス残業や持ち帰りの仕事。
私自身も今でこそサービス残業にならないように気を付けるようになりましたし、園長として残業しないで済むように促しています。
しかし、保育士になりたての頃は仕事のスピードも遅かったですし、タイムカードを切ってからまた仕事することも多くありました。
これらは貴重なプライベートの時間を削ってしまうだけでなく、休息の時間も確保できなくなってきます。
身体の疲れもそうですが、心の疲れがひどくなってくるとうつ病などを発症してしまう事だって考えられます。
そんな環境が嫌になり大量離職につながっているのも理由として考えられます。
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有事の時の対応
保育士にとって気になる所として「保育園は自分を守ってくれるのか」という事が挙げられます。
何か起きた場合、保育士に負担をさせずに守ってくれるかどうかは、安心度に繋がります。
2020年はコロナウイルスが大流行しています。
コロナへの対応で特別有給付与で給与を保証する所もあれば、
有給消化→無くなったら減給or常に出勤という所もあります。
感染のリスクだけでなく、生活に影響を及ぼす可能性があるわけです。
国や自治体の対応によっても異なりますが、保育園としての対応がまずければ、それこそ一斉退職の原因にもなり得ますよね。
感染症以外にも事故や事件、天災が発生した場合も同様です。
保育士に責任を負わせるような保育園ではついていく保育士はいないと思いますよ。
一斉退職の原因は保育士の労働環境であることが多い
保育園の労働環境の良し悪しが離職につながるのは間違いありません。
そもそも、良い環境だったら誰も辞めようとは思わないはずです。
挙げた事例を見てみても、労働環境が影響しているのは一目瞭然ですよね。
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保育士は無責任に退職するわけではない
こうした報道がされると、一斉に保育士が退職するのは無責任だ!と言わんばかりの意見がでることがあります。
確かに、子どもたちを事を置き去りにしてしまっているという事実はあります。
大好きだった先生が急にいなくなってしまうのですから。
しかも何人もの先生が。
一方で、そんな環境で働き続ける保育士の事も考えなくてはなりません。
労働者の権利だってあるはずです。
他人に権利を侵害するされることはあってはならないと思います。
ですので保育士として働いていたけど、一斉退職という形を取らざるを得ない状況に追い込まれていた方を責めるのは違うのではないでしょうか。
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ちなみに年度途中の転職、退職はOKなの?
年度途中の退職ってどうなの?と思う方もいるかもしれません。
気になりますよね?
まず、ご自身の契約形態と就業規則を確認することをお勧めしますが、法律上は14日前までに雇い主に告知すれば退職は可能です。(民法第627条)
就業規則上、大体は1か月前に設定している所が多いようですね。
うちの法人もそうなっています。
この場合、就業規則には1か月前となっていても、法律の方が優先されますので、14日前までに申し出で退職が可能になります。
ただし、年俸制の場合は退職の3か月前までの申し出。(民法第627条第3項)
完全月給制だと月の前半の申し出は月末に、月の後半の申し出は翌月末に可能となっています。(民法第627条第2項)
自身が思っていた雇用形態と食い違っていることは意外とあるようです。
契約内容はしっかりと確認しましょう。
転職する際は【マイナビ保育】などのサービスを利用する方が多いので登録だけは早めに済ませておくと良いかもしれませんね。
おかしなと思ったらまずは相談してみよう
一斉退職が起きる原因は保育士ではなく、運営する側にあります。
大量離脱を招かないような運営をしなくてはなりません。
給与の未払いやハラスメント、業務量を増やさない対応が必要になります。
保育業界で働いていると感覚がマヒしてしまい、「どこの保育園も同じだから」と思ってしまいがちです。
しかし、その考えは間違っている可能性が高く、冷静に考えてみるとおかしいと思えることが多いと思います。
少しでも「おかしいな」と思ったら自治体の保育課や労基署、弁護士などの無料相談など、信頼できる機関に相談してみると良いでしょう。