どうも!保育士園長のまゆあです。
今回は「保育におけるヒヤリ・ハットの活用」についてです。
みなさんの職場ではどれだけヒヤリ・ハットを活用していますか?
言葉自体は有名ですので、どこかで聞いた事があると思います。
ヒヤリ・ハットとは事故にはならなかったものの、ヒヤッとした、ハッとした事で、経験をお持ちの方は多いと思います。
私も現場の保育士として勤務していたころに同じような経験をしたことが沢山あります。
そのたびに気を引き締めなおして、意識を高めてきました。
今でもそれは同じです。
保育業界にとどまらず、様々な業界でヒヤリ・ハットの事例が挙げられています。
重大な事故を起こさない為の一歩目として真剣に考えていきましょう。
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ヒヤリ・ハットとは?
ヒヤリ・ハットとは、突然起きた出来事に対してヒヤッとしたり、ハッと気づいたものの事を指します。
あくまでも「ヒヤッとした事」なので事故や怪我にはならなかったものですが、事故が起きる一歩手前まできている状態になります。
この様な出来事が多く発生していると、事故の発生確率が自然と上がってしまいます。
よく「こどもがぶつかった」といったことをヒヤリ・ハットとして挙げる事例があります。
私の園でもそのような報告が上がってくることがあります。
しかし、この状態はすでに「ぶつかる」という軽微な事故が発生している状態となり、ヒヤリ・ハットとは言えないでしょう。
あくまでも「ヒヤッとした」「ハッとした」出来事がヒヤリ・ハットなのです。
併せて覚えておきたいハインリッヒの法則
ヒヤリ・ハットとセットで覚えておきたいのが「ハインリッヒの法則」です。
法則によると、1件の重大な事故の背景には29件の軽い事故があり、その裏に300件のヒヤリ・ハットが存在するとされています。
だいたいこの割合に落ち着くようです。
ただし、これは製造業などある程度マニュアル化された業種などに適するものであり、保育現場など毎日流れが違う業種には当てはまらない事もあります。
実際に300件のヒヤリハットがあるかと言ったら、もしかしたらもっと多くのヒヤリ・ハットがあるかもしれません。
大事なのは、その裏に隠れている危険を予測する事なのです。
保育園にまつわる大きい事故が発生した報道を時折目にしますが、その裏に発生しているヒヤリ・ハットまで目が向けられた報道は目にしないと思います。
こうした事故のうらには、何かしらの小さいヒヤリ・ハットが必ず隠されていると思って良いでしょう。
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なぜヒヤリ・ハットが生まれるのか
原因①職員間の声掛けが不足している
保育を行う際は、職員間の声掛けが大切ですが、その声掛けが不足しているとヒヤリ・ハットに繋がりやすくなります。
一人が見れる範囲にはどうしても限界があります。
それをみんなでカバーしあって保育を行っていると思います。
声掛けが不足していると、どうしても死角を作ってしまったり、こどもの事を見切れないといった事態になるのです。
その結果がヒヤリ・ハットや事故の発生に繋がるのではないでしょうか。
お互いに声掛けをしていれば、その時点で気を付けて行動すると思います。
声掛けが不足する背景にはコミュニケーション不足があります。
普段からコミュニケーションを取ってカバーし合える様にしたいものですね。
原因②環境の不備
ヒヤリ・ハットが生まれる原因の一つとして「環境の不備」が挙げられます。
例えば、こどもの目線の高さに角になる様な場所があったら、その時点で危ないシーンが予想されますよね。
他にもこどもの手が届く範囲に危険な物があったり、扉に手が挟まれる可能性があるなど様々な不備が原因になる事は多いです。
本来そうならない様に考えて環境を作っていかなければならない所でもありますが…
そうなっていない保育環境も散見されるので、もし、自身が働く保育園がそういう環境であれば、改善する必要があります。
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原因③ヒヤリ・ハットに対する意識の低さ
職員のヒヤリ・ハットに対しての意識の低さも原因として挙げられます。
意識が低いとヒヤッとすることにすら気付けませんからね。
身近な所に危険が潜んでおり事故が起きる寸前だったとしても、それに気付く事が無ければいずれ事故は発生してしまいます。
ヒヤっとした事があったら、どういう状況だったかやなぜ起きたかを書きとめていくと良いのですが、意識が低いとそれすら行われません。
一方、ヒヤリ・ハットに対して意識が高い職場であれば、事例をどんどん積み重ねていけると思います。
小さな事でも意識を高めていけると良いですね。
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保育現場におけるヒヤリ・ハットの事例
階段を登る時に手を離してしまった
以前、保育園内の階段を昇り降りしていて、手すりから手を離して落ちかける事例がありました。
職員がしっかりと側についていて、すぐに対応したのであれば良いのですが、ヒヤリとする場面に間違いありません。
もし、保育士がそばにいなかったら…。
きっとこどもは下まで落ちてしまうでしょう。
そうなってしまうと、事故になってしまいます。
打ちどころによっては大けがでは済まなくなります。
階段は危険な場所という認識をもつ必要があります。
一方、園内にある場合、こどもたちにとって生活に必要な場所でもあると思います。
安全に昇り降りできるよう、こどもたちに伝えていくとともに、階段使用時は十分な職員配置を置くなどの対策が必要ですね。
こどもがぶつかりそうになった
こどもたち同士がぶつかりそうになる事例は毎日のように発生します。
他にも、壁にそのまま向かってしまったり、職員とぶつかりそうになる事もあります。
こどもの走りたくなる気持ちを制止する事は中々難しい事でもあります。
しかし、誰もが縦横無尽に走り回る環境は避けた方が良いでしょう。
ヒヤリ・ハットにならない為に、どういった環境を整えたら良いのかを考えてみてはいかがでしょうか。
室内の物の配置、職員の配置、活動内容…。
どうすればぶつからずに済むか、様々な角度から考えればそれぞれの環境に合った改善策が見つかるはずです。
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棚からものが落ちかけた
保育室には棚が設置されていることが多くあります。
原則、棚の上には何も乗せないようにしていると思いますが、一時的に何かを乗せる事もあるでしょう。
また、備え付けの吊り棚などにモノを収納する事もあると思います。
そこから物が落ちてくる、落ちかけるなどの経験をした方もいるのではないでしょうか。
こどもにもしぶつかってしまたら…
きっと怪我をしてしまう事でしょう。
しっかりと物をしまっておくだけで防げるはずの事例です。
無用なヒヤリ・ハットは防ぎたいものですね。
午睡しているこどものそばに物を落とした
午睡で寝ているこどものそばに何か物を落としてしまったという事例もあります。
例えばペンなどの細いもの。
書類と一緒に持ち歩いていて、ポロっと落とす事例があります。
今年度私の園でも事例がありました。
一歩間違えたらこどもに当たってしまいますし、目などに当たったら病院受診をしなくてはなりません。
そもそも、物を持ってこどもたちの周りで動く事がなければ起こらないですし、棚の側にこどもを寝かすのも本来はNGです。
「ちょっとくらいなら大丈夫だろう。」
この意識がヒヤリ・ハットを生んでしまうのです。
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活用して事故を防ぐには
分析をしていく
ヒヤリ・ハットを活用して事故を防ぐには、分析していく事が大切です。
分析のポイントとしては
・どの時間帯に起きているか
・職員の配置、人数
・保育環境はどうだったか
ひとまずいくつか挙げてみましたが、見るべきポイントは上記の他にもあります。
分析していくと、ヒヤッとする事が多い状況が見えてきます。
特定の曜日なのか、人数なのか、特定の人なのか…。
その分析結果を踏まえて、対策を考えていきましょう。
対策を施した後は、効果がどうだったかもあわせて考えていくと良いでしょう。
あまり効果が無いようなら、別の対策を考えていく必要があります。
日頃の点検を怠らない
園内の点検をどれくらいの頻度で行っていますか?
点検個所によっては毎日見なくても良いところもあるかもしれませんが、日ごろから点検する習慣をつけておくとヒヤリ・ハットの防止に繋がります。
特に、ヒヤリ・ハットが発生しやすい場所は二重で確認するなど、重点的にチェックする事が必要だと思います。
どんな重大な事故も、初めの原因はささいな事だったかもしれません。
日頃から点検を怠らずに行っていれば、対処もしやすいです。
火種が小さいうちに対応しておけば、事故に繋がらないですからね。
安全点検表の様なものを作っている保育園は多いと思いますが、点検の度にしっかりと抜けなくチェックしていきましょう。
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事故防止対策として事例を積み上げよう
ヒヤリ・ハットを積み重ねていくと、ある程度の傾向が見えます。
その傾向を見る為にはそれなりの事例数が必要となります。
人は危険な事に対してはできるだけ関わりたくないと思いがちですよね。
私もできる限り危険な事に関わらずに済むのであればその方が良いと思っています。
しかし、関わりたくないという意識が「これくらいいいか」という思いに変わると、大きな事故につながる可能性が高くなります。
すべてはこどもたちの為に…
どんなに小さい事でもヒヤッとした場面があったのであれば、事例として積み上げて、全体に共有しながら今後に活かせる形をとれると良いと思います。
保育園にいるすべての人が安全に過ごせるようにしたいですね。
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ヒヤリハットに関する参考書籍
著者の遠藤登さんは安全にまつわる講演や研修を数多くされており、私も研修を受けた経験があります。
ヒヤリ・ハットの事を切り口に、救命に関わる知識がふんだんに詰まっています。
図解も多く読みやすい本になっていますのでおすすめです。
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