どうも!保育士園長のまゆあです。
今回は「育児ストレスを抱える保護者に対する支援」について書いていきます。
保育園では保護者の方と様々な形でコミュニケーションを取っていきますが、中には育児ストレスを抱えている方も少なくありません。
明らかに疲れているなど目に見えて分かる方から、連絡帳で状況を伝えてくる方、見た目には変化が見えない方など様々です。
育児ストレスは最終的には保護者が解決する問題でもありますが、一方で子育て支援を行う役割を持つ保育園・保育士にもできる事があります。
支援していかないと、最悪のケースに発展する事も十分考えられるだけあって、真剣に考えるべき点でもあります。
今回は育児ストレスを抱えた保護者に対して、何ができるのか、保育園側の視点で考えていきたいと思います。
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育児ストレスを抱える保護者
こどもを育てている方は大なり小なりストレスを抱えています。
仕事と育児の両立、慢性的な疲れ、時間の無い日々…。
子育てをしている人であれば、誰でも一度は感じた事があると思います。
かくいう私もストレスが全くないわけではありません。
疲れは感じますし、上手くいかないとイライラすることだってあります。
個人的に解決できればそれが一番良いのかもしれませんが、現実はそう上手くいきません。
そこで、保護者がどんなストレスを抱えているのか、保育園として理解をしていき、必要であれば支援をしていく事が大切になるのです。
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ストレスを抱える原因となるもの
こどもの成長に対する悩み
こどもはどんどん成長していきます。
産まれた時は本当に小さな赤ちゃんだったのに、1年経てば早いこどもは歩き始めるくらいになります。
2年経てば自我も芽生え、意思をストレートにぶつけてくる様になります。
「こどもが言う事を聞いてくれない、もうなんで!」となる保護者の方は毎年の様に見受けられます。
現に今、私の園でも困っている方がいらっしゃり、話を聞いている所です。
初めて子育てする方は、こういった成長に中々ついていけなかったり、今後見通しが立てられずにいる方もいらっしゃいます。
「参考になる事があれば」と育児本などを購入しても、自身のこどもに当てはまる事が少ないとより悩んでしまいますよね。
こどもは思いもよらぬ成長を遂げる事があります。
保育士などこどもに関わる職業の方や、すでに子育てを経験された方は見通しが立てられると思いますが、初めて子育てする方にとっては悩んでしまうポイントです。
家族や親せきとの関係
家族や親せきなどもストレスの原因になります。
例えば
・夫婦どちらかがこどもに無関心
・自身の父母、配偶者の父母が子育てへの介入する
・一緒に住んでいる家族が手を出す
などです。
家族の協力が得られない事例はSNSを見ても多くあります。
特に男性の子育て参加は国として力を入れている所ですが、職場の理解が得られないなどで参加が進まない現状もあります。(それでも少し前と比べたら良くはなっていますが)
また、自身の父母などに口を挟まれるとイライラしてしまう事もあるでしょう。
方針を巡って対立してしまう事例も沢山あります。
協力できる関係であればこういった事も少ないと思いますが、口だけ出されて何もやらない方がいると怒りが湧いてきて当然ではないでしょうか。
仕事との両立
仕事をしているとどうしても「仕事に対するストレス」も発生します。
育児ストレスと仕事のストレスの両方を抱えてしまうと、こころの病にもかかりやすくなってきます。
実際に仕事をしなくてはならない一方で、こどもの事も見ていかなければならない、この狭間で葛藤している人は多いと思います。
特に女性は家事と子育てと仕事と3つを抱えがちになるので、よりストレスが増してしまいます。
また、子育てに追われてしまって自身の時間取れないと、気持ちの余裕もなくなってしまいます。
「仕事を辞めればいいのでは」という声も挙がりそうですが、現実は共働きでないと生活が苦しいという家庭も多いと推察されます。
他にも女性の社会進出も積極的になっていることから、今後も働きながら子育てする家庭が多くなると思われます。
この事からも、仕事との両立を目指す中で育児ストレスを抱える事例は今後も多くなりそうです。
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保育園で保護者に対して出来る事
相談できる場を作る
保育園で悩みを相談できる場を作る事は大切なことです。
定期的な個人面談もそうですし、何かあった時にいつでも気軽に相談できる様に窓口を大きく開けておく事が必要なのではないかと思います。
また、平成30年に改正された保育所保育指針では、地域との関わりも明確になりました。
地域の子育て拠点として、園に通っている保護者の方だけではなく、地域の方の相談も受けられるのが理想的ですね。
相談会の実施を行っている園もあります。
定期的にこうした機会を作ってみてはいかがでしょうか。
話す事で悩みが解決できれば、子育て支援になります。
解決できなくても、話を聞いてもらえるだけですっきりした気持ちになるかもしれませんよ。
悩みに対して傾聴し、共感する
悩んでいる保護者への対応として、一番行いたいのが「共感する事」です。
ストレスを抱えると、孤独感に見舞われがちになります。
「なぜ私だけ」とか「なんでうちの子だけ」という気持ちになってしまうと、どんどん辛くなってしまいます。
悩んでいる時は誰も自分に共感なんてしてくれないと思う事もありますので、悩みに対して共感してくれる人がいると、気持ちも変わってきます。
また、共感する為には「相手の話を傾聴する」事も必要です。
悩みを心から聴いてくれる存在があると、保護者の気持ちも楽になります。
その役割を保育園が担えると、子育て支援にもなりますし、こどもへのより良い保育の提供につながると思います。
子育てに対して見通しを立てるサポート
初めて子育てをしているかたは、いわば暗闇のトンネルをさまよっている状態に陥っているかたも少なくありません。
どう子育てをしていったらいいのか分からないのです。
ですので、目先の悩みを解決する一方で、もっと先の見通しを立てていく事も大事なことではないでしょうか。
保護者にとって初めての事なので分からないという事は当然の事です。
一方で、普段からこどもたちに接している人はこの視点が抜けてしまっているのではないかと感じています。
暗闇のトンネルに明かりを灯していくという表現が合っていると思いますが、見通しを立てる事で希望を持ってもらう事ができるのではないでしょうか。
子育ての悩みとは少し違うかもしれませんが、私は園見学に来た方と話をする時に、ひと学年上のこどもの様子をお見せしています。
初めて園見学をする方も多いので、保育園ってどんなところだろうと思う保護者の方も実は多いです。
そういった方に一年後の姿としてこどもを見ていただくと、イメージが湧いてくるのです。
見通しが立つと、次へ向かう活力や気力にもなります。
長期的なサポートも必要ですが、これも保育園でできる事の一つだと思います。
気軽に雑談をする
みなさんの保育園では、普段から雑談できる環境を作れているでしょうか。
相談を受ける事も大切ですが、普段から気軽に話ができる環境を作っておけば、ちょっと困った時に話をしてくれるようになります。
雑談をする中で、気になる事を保護者の方から話してくれる事もありますし、こちらから聞ける事も多くあると思います。
くだらない内容であっても話すだけでも気持ちが楽になります。
気持ちが楽になれば、少しでもストレスの軽減に繋がりますよね。
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一時保育の開放や、仕事以外の理由でのお預かり
時には一時的に距離を置く事が必要なケースもあるでしょう。
そういった時にこどもを預けられる体制を整えておく事も、保護者に対してできる事になると思います。
一時保育を行い、地域の方を受け入れる事や、仕事が無くても短時間預かる様なシステムがあると良いと思っていますが、これに関しては賛否があると思います。
基本的にはお仕事+通勤時間がこどもを預かる時間になります。
しかし、悩みに悩んでいる保護者に対して一貫して「休みの日は預けてはいけません」と拒否する姿勢を見せるのもどうかと思うわけです。
半日でも預けた方が、保護者にとってもこどもにとっても良い事だってあるはずです。
保育園は保育を必要とする方が、必要な時間こどもを預ける場所です。
しかし、全員の方が朝から晩まで預けてしまうと、保育士は何人いても足りないという状況にもなります。
ですので、基本的には入所時にクギをさしておく事が必要でしょう。
無暗に預かる状況になってしまうと到底対応できないですからね。
今は「保育に欠ける」から「保育が必要な」という表現に変わっています。
こうした育児ストレスに関しても、状況を把握したうえで「保育が必要」と判断しても良いのではないかと思います。
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マルトリートメントへの発展に気を付ける
ストレスが溜まりにたまってしまうと、マルトリートメントに発展する可能性もあります。
マルトリートメントは不適切な養育とも呼ばれ、虐待などがそれにあたります。
悩みが長期にわたって解決できなかったり、ストレスが深刻化してしまうと、マルトリートメントに発展する可能性もなきにしもあらずです。
こうなってしまうと、こどもに影響がでてしまいます。
悪影響になる前に止める必要がありますよね。
こどもに影響を与えない為にも、普段から積極的にコミュニケーションをとっていき、変化が見られたら慎重に対応していきましょう。
子育て支援の視点で考えよう
育児ストレスを抱える保護者にとって、保育園で話ができるというのはストレス緩和にも繋がる事です。
保育園側としても保育士が話を聞くことで、家庭の状況が分かりますし、こどもへのアプローチの参考にする事ができます。
また、マルトリートメントの早期発見にもなり、こどもを守る事にも繋がります。
この様に、保育園でできる事を増やしていけば、れっきとした子育て支援になるのです。
育児ストレスは溜めないに越した事はありませんが、多かれ少なかれストレスは溜まっていくものです。
その状況を保育園側として理解し、そっと寄り添う様な形で保護者にアプローチを行っていきたいですね。
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